2016年5月1日日曜日

遺伝学セミナー2016のQ&A その2


やさしい「犬の遺伝学」セミナー2016にご参加頂いた方の中で、
時間切れで質問できなかった方には、アンケート用紙に質問があればご記入下さいとお伝えしました。

ご記入頂いた方の質問について、尾形聡子さん・アルシャー京子さんのお二人より
ご回答頂けたことについて、随時掲載してきたいと思います。


Q2:最初の質問者への回答に関連した質問です。
(※最初の質問とは、セミナーの質疑応答タイムの最初に出た犬の遺伝子プールについての質問のこと)
米国の柴犬は日本より確実に個体数は少ないのに問題犬は少ない実感があります。
遺伝子プールの少なさは問題気質を作り出す要因としてそれほど大きくないのでは?ご意見お聞かせください



A2:まず、日本から米国にわたった柴犬たちが持っていた気質が問題気質を持っていなかっただろうことが考えられます。
その犬たちを始祖として米国で柴犬が広まっていったのであれば、
今現在は遺伝子プールが小さいことで“問題を起こしにくい気質”を持つ犬の割合が
高くなっている状態なのではないかと思います。

逆を言えば、問題気質を持つ犬を始祖として個体数が増えていけば、遺伝子プールが小さいうちは、
ほとんどの犬が問題気質を持っている可能性が高い、ということが言えるかと思います。
ですので、遺伝子プールの大きさが問題気質を作り出す直接的な要因ではなく、
遺伝子プールが小さくて問題気質を持つ割合が高くなっている集団が問題になってくると思います。
狭い選択肢の中からどうにかしていい気質を選んでいかなくてはならないからです。
選択肢が狭まると、さらに、それに付随して別の遺伝的影響も出てきてしまう(劣性遺伝する形質)可能性も
高まってしまいます。